個人の自己破産とは違い、法人の自己破産は関連する企業、債権者それにプラスして従業員への対応も考えておかなくてはなりません。事業を停止するのですから当然従業員も解雇しなければなりません。
ここで一番問題になるのが、申立の準備でも触れたように従業員への未払い賃金に関してです。未払い賃金を支払う資金があればいいのですが、支払う資金がないという場合、財団から支払を受けるか、労働者健康福祉機構の立替払い制度を利用して支払うことになります。この場合、賃金の80%または年齢に応じた一定額という上限があります。
労働者の債権については破産開始決定日の前3ヶ月間の給料、破産手続き終了前に退職した者の使用人の退職手当の請求権のうち、退職前3ヶ月間の給料総額と破産手続き前3ヶ月間の給料の総額のいずれか多い方に関して財団債権となり、優先支払を受けることができます。
解雇予告手当は、財団債権になりません。優先的破産債権となります。しかし、解雇予告手当の支払いがない状態で即時解雇された場合、その後30日を経過するまで効力がないので解雇後30日の未払い給料の請求権ということで、財団債権とされることもあります。従業員の賞与に関しては、開始決定日前3ヶ月に発生したものについて財団債権となります。
従業員でも、取締役兼従業員という立場の場合、給料部分は財団債権、優先的破産債権となることもあります。取締役といっても名目上であって通常勤務の従業員と変わらない立場にあったという場合には、給料という形で扱われることもあります。
従業員への賃金の対応等を行う場合、労働者健康福祉機構を利用しても破産財団を利用しても算定が必要になりますので、タイムカードや就業規則など従業員の賃金に関係する資料を破産管財人に引き継がなくてはなりません。



